最新記事

ラベル 聖者の生涯 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 聖者の生涯 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2014年9月25日木曜日

ラームラーラー

要約・ラーマクリシュナの生涯(16)「ラームラーラーへのヴァーッツァリア・バーヴァ」より

1864年頃、ドッキネッショルに、ジャターダーリーという修行者がやってきた。彼は礼拝の対象として童子ラーマチャンドラの像を持っており、長年にわたって深い愛を込めてこの像に仕えているうちに、彼の心は深いプレーマ(神への至高の愛)の状態に没入した。彼は時々、光り輝く童子ラーマのヴィジョンが瞬間的に現れ、彼を至福で包むのを経験した。そしてさらに修行が進むに連れて、そのヴィジョンはさらに強烈になっていった。そしてついにはそのヴィジョンは一般に外界のものを普通に目で見るのと同じようにハッキリとしたものとなり、また時間的にも長く続くようになった。
このように神への愛に満ちた瞑想状態に常に入りつつ、彼はほとんど絶え間なく、童子ラーマと一緒の世界に暮らしながら、インド国内の様々な聖地を遍歴していた。そしてついにこのドッキネッショルへとやってきたのだった。

このようにジャターダーリーは頻繁に童子ラーマの姿を眼にしていたけれど、そのことを誰にも明かさないでいた。しかしゴダドルは、初対面のときに、ジャターダーリーがそのような境地にあることを見破った。そのためゴダドルはジャターダーリーを尊敬し、彼がラームラーラーへの奉仕に必要とする品々を喜んで提供した。
ハヌマーン

もともとゴダドルの家の神はラグヴィール(ラーマ)であり、また前述のようにハヌマーンのムードのダーシャ・バーヴァの修行に没頭しているときも、ゴダドルはラーマへの深い愛と信仰の中にあった。そして今、ジャターダーリーと会い、会話を交わすことによって、ゴダドルの中に、主ラーマへの愛と信仰が再び甦った。そしてジャターダーリーが礼拝しているラームラーラーの像の中に、ゴダドルもまた、主ラーマの童子の姿をハッキリと見た。

ゴダドルは以前に家の神ラグヴィールへの礼拝のためのラーマのマントラを授けられていたが、今度は童子ラーマ(ラームラーラー)への母親としての愛の態度のためのマントラをジャターダーリーに授けられ、そのサーダナーに没頭すると、わずか数日間で、童子ラーマの神聖なヴィジョンを常に見るようになった。

ゴダドルの心は、ジャターダーリーが持つその童子ラーマへの母性愛でいっぱいになり、母親が自分の幼子に対して感じるような素晴らしい愛と執着を童子ラーマに感じるようになった(ヴァーッツァリア・バーヴァ)。ゴダドルは時を忘れて、ジャターダーリーの童子ラーマの像のそばにいつもいるようになった。なぜならこの光輝く童子ラーマは、様々な子供らしい愛らしい仕草をして、ゴダドルに他の一切のことを忘れさせるのだった。またこの童子ラーマはいつもゴダドルがいる方向を見つめてゴダドルが来るのを待っており、またゴダドルが来るなと言っても聞かずに、ゴダドルが行くところどこにでもついてきた。

この頃のことについて、後にラーマクリシュナはこう語っている。

2014年6月14日土曜日

【おすすめの本】聖者の生涯 第二巻 その①ヴィヴェーカーナンダ

↑聖者の生涯 第二巻。
(この本は電子化してみました)

先日友人のMさんが、
「ナーグマサハーシャヤの生涯を読んで感動したんですよー!」
と教えてくれました。「味覚に囚われるのなくすために、自分も米ぬかを食べようと思ったんですよー」と。それで私も彼らしい感動ぶりに影響を受けて、久しぶりに本を読み返してみたら、とても感動してしまいました。
この感動を忘れないうちに書いておきます。

2014年6月10日火曜日

サーダナーの果実を味わうには

ナーグ・マハーシャヤ

「サーダナー(成就法)の方法に関して言えば、必要な唯一のことは、果実の木の下で常に用心深く、寝ずの番をしている人のように、いつも精神を完全に目覚めさせておくことです。

人間は、神が無限の思寵を通してそれを許す場合に限リ、彼のサーダナーの果実を味わうことができるのです。

さらに付け加えれば、明らかに、われわれの側からの激しい働きかけがなくても、主の圧倒的な恩寵が与えられる事があリます。それはたとえば睡眠中に、主が天上から、サーダナーの果実を彼らの上に滴リ落とすようにあらわれるのです。彼らは目覚めて、自分自身と世界の大いなる驚異が与えられたことを理解するのです。このような場合には、いかなるストレスもサーダナーの苦労も経験しません。このような人々はクリパーシッダとして知られています。

2014年5月18日日曜日

ハヌマーンの物語




ハヌマーンってご存知ですか?一度はインドの神様の絵をご覧になったことがあるかと思いますが、今日はハヌマーンのお話を紹介したいと思います。

ハヌマーン

ハヌマーン(हनुमान् Hanumān)は、シヴァ神の11番目の化身で、ヒンドゥー教の聖典ともなっている叙事詩『ラーマーヤナ』に出てくる猿の勇者です。
孫悟空のモデルにもなったといわれる、インドではとても人気のある神様なのですね。

『ラーマーヤナ』では地球に蔓延った悪を消滅させるために、至高者ヴィシュヌ神が「ラーマ」として地球に降誕し、悪を消滅させるお話ですが、シヴァ神もこの計画の遂行に、ハヌマーンとして『化身』を風神ヴァーユの力を借りて、猿の王の妃の子宮に運ばせ、地球に誕生させました。

「ラーマ」に帰依し、この神の計画を勇敢に遂行していく姿は、私たち人間が本来あるべき神に対する信や、数々の困難を乗り越えていく勇気を与えてくれています。
おそらく日本では、その詳細な物語は知るのが困難だったと思われますが、この素晴らしいお話を、日本語字幕つきで知ることができますので、ご興味あるかたは、是非ご覧ください。

(第一話)
あらすじ:地球に蔓延った悪のせいで、地球は悲鳴をあげていた。神々はヴィシュヌ神に地球を救ってくれるように懇願しにいく。そして地球を救うために降誕をする約束をした。シヴァ神はこの大いなる神の計画に、ハヌマーンを誕生させる――)

2014年3月2日日曜日

心の解放と精神の導師

ミラは困惑の極致だった。そんな彼をみかねたグルの妻は、彼をラマ・ゴクパのもとに送った。ゴクパは彼になにがしかの教えをあたえた。しかし、なんの進歩もなかった。
ラマの許可がなければ、どんな教えも力をもたないことが、これでわかった。ゴクパは、ミラをマルパのもとに送りかえした。数日間は、何事もなく過ぎた。

しかし、ある儀式がおこなわれている最中に、マルパはその場にいあわせた者のすべてを、手ひどくしかりつけた。この中にはラマ・ゴクパも混じっていた。ミラはラマの怒りの意味を理解して、深い絶望におそわれた。自分の存在が、ゴクパや奥さんにとんでもない迷惑をかけている。そう思った彼は、絶望のあまり自殺をはかった。

ラマ・ゴクパが自殺を止めた。そのとき、ようやく、マルパの怒りが静まった。グルはミラを身辺に呼び寄せた。ミラはこのとき、グルから「ミラ・ドルジェ・ギャルツエン」という、新しい名前をもらって、生まれかわった。ミラには、デチョクの密教の教えがあたえられ、ラマの力をもって、六十二の守護神が、ミラの前に出現した。こうして、ミラレパは、マルパからすべてのイニシエーシヨンと教えを、もらうことができたのだ。ミラレパはあらゆる苦しみ、悩み、疑いとたたかった。マルパが弟子にあたえた試練は、まったく不条理なものであったが、それに従いぬくことによって、ミラレパはとてつもない、内面の成就をなしとげることができたのである。

昔のグルと弟子の関係は、こんなものだったのだよ。二人の心が完全にひとつのものとなるまで、グルはいつまでも弟子に試練をあたえ続けたのだ。グルにちょっとでも、嘘を言ってはいけないし、裏切ってもいけない。それはあなたの中で、たちまちにして、巨大な罪へとふくれあがってしまうだろう。

あるとき、偉いヨーギの弟子が、たくさんの人々の前で、立派な説教をしていたことがあった。その場に、グルであるヨーギが、乞食のかっこうをしてあらわれた。弟子はそれに気がついたけれど、まわりにいっぱいの人がいるので、その中で乞食のかっこうをしたグルにひざまずくのが、恥かしかった。それで気がつかないふりをした。夜になって、弟子はグルのもとを訪れ、その前にひれ伏した。

グルが言った。「おまえはどうして、さっき私にひざまずかなかったのだい」

弟子が言う。「いいえ。私はまったく気がつきませんでした」

そう言い終わるが早いか、彼の目玉がはずれて、床に落ちた。あわてた弟子は、グルに大あやまり、やっと目玉をとりもどした、という、これはいかにもインド風のお話だ。

こういう話を通して、何を言いたいのかは、あなたにはわかっていることだろう。今のような時代には、真実の教えに出会い、それを学ぶことができるなど、ほとんど奇跡に近いことなのだよ。その教えをあなたに伝えてくれるグルの存在の重要さが、その一事からでも理解できるだろう。昔の人は、そういう幸運に恵まれたことを、心から感謝して、あらゆる困難に耐えて、教えを求めたものなのだ。私があなたに求めているのも、そういう心構えなのだよ。

心の解放と精神の導師「改稿 虹の階梯―チベット密教の瞑想修行 (中公文庫)

ヴァジュラ・ダラを中心として、ティローパ、ナローパ、マルパ、 ミラレパ、ガンポパなどがとり囲む、カギュ派の相承

2014年2月10日月曜日

チャイタニヤ

「宇宙にあるすべてのものが真我をよりどころとしていますが、その真我をはじめ、あらゆるものの根本的なよりどころがクリシュナです。
そしてその権化のよりどころであるクリシュナが、自らチャイタニヤ師の姿を取って権化されたのです。
それゆえチャイタニヤ師は、あらゆるものに勝る真理なのです。」

‐チャイタニヤ伝

チャイタニヤ
ラーマクリシュナがケシャブに初めて会ったのとちょうど同じ頃、ラーマクリシュナの中に、シュリー・チャイタニヤとその信者たちのキールタンのヴィジョンを見たいという願望がわき起こった。
するとしばらく後のあるとき、ラーマクリシュナが自分の部屋の外に立っていると、チャイタニヤと信者たちが神の御名を歌いながらパンチャヴァティーの方からやってきて、ドッキネッショル寺院の表門の方に進み、木々の背後に消えていくのを見た。

 その信者の群衆のある者たちは自らを制御する自由を失い、ある者たちは至福の中で狂ったように踊り狂っていた。彼らすべてが、神への愛から生まれた霊的酩酊状態にあった。その群衆は巨大であったが、ラーマクリシュナはそのとき、そこにいた信者たちの中の二、三人の顔を目に焼き付けた。

 後にラーマクリシュナのもとにやってきた信者たちの中にその同じ顔を見つけたとき、ラーマクリシュナは、彼らが前生においてチャイタニヤの仲間であったことをハッキリと知ったのだった

―要約・ラーマクリシュナの生涯

-------------------------------------------
「チャイタニヤ」

生没年: 1485-1533
インドの宗教思想家。ヒンドゥー教のビシュヌ派の一分派チャイタニヤ派の開祖。ベンガル地方で新たにクリシュナ・ラーダー崇拝の宗教運動を始めた。奉仕の実践を尊び,愛の精神を強調した。

>>第二章 クリシュナ・チャイタニヤに関する真理

2012年4月28日土曜日

不断の熱意―スワーミー・シヴァーナンダ


十五年間も瞑想を続けて、何の進歩も見なかった人がいる。それはなぜか。熱心さ、離欲、強い魂の解放への欲求、そして激しい不断の修行がなかったからである。

修行者の間でも、かような不平を聞く。「私は十二年間瞑想してきたのに、何の進歩もない。悟りも開けない。」――なぜか。何が原因なのか。
それは、深い瞑想に没頭して、自分のハートの一番奥まで深めなかったからである。
正しく消化吸収して、神の思いで心を満たさなかったからである。
規則的に修行をおこなわなかったからである。
感覚器官を正しく調御しなかったからである。
心が外に出て行こうとする傾向を完全に抑えて、心を集中しなかったからである。
『今この瞬間に悟るぞ!』という強い決意がなかったからである。
心のすべてを、百パーセント神に向けなかったからである。
途切れのない油の流れのように、神の意識の流れを自分の内に増して行かなかったからである。

何年間か修行した後、進歩しているかどうかチェックしなければならない。十分注意深くしていないと、離欲が薄れ、瞑想の熱意が衰え、退歩する。後戻りする。

いつも神のことを思えば、そのうち必ず神を知る。

――スワーミー・シヴァーナンダ

2010年1月7日木曜日

不滅の言葉―ラーマクリシュナ・パラマハンサ

このエントリーをはてなブックマークに追加



ブラフマンがどんなものか口では言えないのだ。
塩人間が海の深さを測りに行った。どれほど水があるのか報告するつもりだった。でも報告することができなかった。海に入ったとたんにとけてしまったから。
-いったい、誰が海の深さを知らせることができるかね?


スポンサーリンク



☆*゚¨゚゚・*:..。o○ ○☆*゚¨゚゚・*:..。☆


夜空には、たくさん星が見えるが、太陽が昇ると見えない。
あなたは、日中の空には星はない、と言うことができるか。
だから、無知である日々の中に、神を見ないからと言って、
あなたは、そこには神はいない、などと言ってはいけない。


☆*゚¨゚゚・*:..。o○ ○☆*゚¨゚゚・*:..。☆

2010年1月4日月曜日

M(マヘンドラナート・グプタ)の役目


M(マヘンドラナート・グプタ)

ラーマクリシュナの弟子であり、師が話したことや日常を、事細かにメモして日記に残し、本にしました。
後に、『ラーマクリシュナの福音』として、師の教えを世界中に伝えたマヘンドラナート・グプタ。

通称”M”。

彼自身も偉大な聖者で、晩年は多くの弟子にヨーガを教えていました。

そして、パラマハンサ・ヨガナンダの『あるヨギの自叙伝』にでてくる「至福の聖者」マスター・マハサヤは、このマヘンドラナート・グプタのことなんですね!

さて、どんな人だったか、先生の日記からわかり、またバクティ・ヨーガとはどういう道か、大変勉強になりましたので、ここに抜粋して紹介します。


☆ただの道具☆

わたしが好きな話で、前も言ったけど、ラーマクリシュナとMね。
ラーマクリシュナの弟子の、『ラーマクリシュナの福音』を書いたMっていう人の話で――マヘーンドラナートっていうんだけど――Mっていう人は学校の校長先生をやってて、自分の学校の子供をどんどんラーマクリシュナのところに連れてった。
その中にラーマクリシュナが気に入った、すごい素晴らしい素質を持った子供たちもいて、で、ラーマクリシュナがあるときその子供たちを絶賛するわけだね。
「この子は偉大な魂であって、前生から完成された魂だ」ってすごいべた褒めするわけだね。
「前生から完成されてて、もう本当に使命を持ってここにやってきたんだ」と。
バーッて言った後に、そこにいた人が、「じゃあMは何なんですか?」と。つまりそのような偉大な魂を連れてくるMっていうのはどんな存在なんだって聞いたら、ラーマクリシュナは一言だけ、

「ああ、ただの道具だ」

って(笑)。

で、わたしね、何でそれで感動したかっていうと、それ書いてるのMなんです。
普通さ、もし「ただの道具だ」って言われて、「え! おれは道具かよ」って思ったら、書かないよ、きっと(笑)。でも書いてる。

多分ね、わたしの想像だけど、Mとしては嬉しかったと思う(笑)。つまり、ただの道具っていうのはバクティの最高の理想なんです。

つまり「おれが!」とか「おれは偉大な魂だ!」とかじゃなくて、ただ道具として生きるっていうかな。で、その感覚っていうかな、その感覚をみなさんが身につけられたら相当苦悩は減ります。
ただわたしは至高者によって動かされてるだけだと。例えばそこで生じる成功にしろ失敗にしろ。
あるいは人から言われる善いことにしろ悪いことにしろ、全部神の動かしてる機械の範疇にあるものにすぎないと。
そういう意識だね。これを持つことっていうのはバクティ・ヨーガの一つの基本だね。

☆*゚¨゚゚・*:..。o○ ○☆*゚¨゚゚・*:..。☆



M(マヘンドラナート・グプタ)(1854年 - 1932年)は、ラーマクリシュナの主要な弟子の1人。
1882年に彼が初めてラーマクリシュナに会ったとき、彼は高等学校の校長であった。彼はラーマクリシュナが死去する1886年まで、師を訪れ続け、自己の日記帳に師の教えと会話を書き留めた。
そして、晩年5年間の言行録を、1897年から約35年間かけ 5冊に分けて発表した。
1942年には、英訳されたものが "The Gospel of Ramakrishna" (邦題『ラーマクリシュナの福音』)というタイトルで出版された。

『あるヨギの自叙伝』の "The Blissful Devotee and his Cosmic Romance" という章は、マヘンドラナート・グプタに捧げられたものである。

☆*゚¨゚゚・*:..。o○ ○☆*゚¨゚゚・*:..。☆

Mの伝記はこちらに紹介されています。
1.「ラーマクリシュナの福音」の著者Mの短い伝記(1)

☆*゚¨゚゚・*:..。o○ ○☆*゚¨゚゚・*:..。☆
もっと知りたい方へ、これらの本に訳されています。
1.『不滅の言葉(コタムリト)』
田中嫺玉・奈良毅訳  中公文庫
2.『インドの光 聖ラーマクリシュナの生涯』
田中嫺玉  中公文庫
3.『ラーマクリシュナの福音』 
マヘンドラナート・グプタ 日本ヴェーダーンタ協会

2009年12月29日火曜日

チベットの聖者ミラレパの生涯

このエントリーをはてなブックマークに追加

ミラレパはお金持ちのお坊ちゃんとしてチベットに生まれました。幼名をトゥーパガといいました。

父と母と妹との四人家族で、その地方で名の知れた大富豪でしたが、ミラレパが七歳のころ、父が他界しました。
父は遺言を残していたにもかかわらず、貪りの強い叔父と叔母が、一家の財産をすべて奪い取りました。そしてそれのみならず、残されたミラレパの一家を、奴隷のように扱ったのです。
昨日まで良い服をして良い暮らしをしていたミラレパ一家は、今やぼろをまとい、奴隷のように働き、物乞いによって食を得るという暮らしになってしまったのです。
復讐を誓ったミラレパの母は、ミラレパに魔術を習いに行かせました。ミラレパは母の望みどおりに魔術を習得し、魔術によって叔父叔母の子供や親戚や仲間たち35人を殺し、復讐を果たしたのでした。叔父と叔母だけは見せしめのために生かしておきました。


スポンサーリンク


しかしこの復しゅう成功の後、ミラレパの中に、悪業を犯してしまった後悔の念と、真理を求める強い思いがわきあがってきました。そして魔術の師匠の紹介で、ミラレパはまず、ゾクチェンの師匠であるロントン・ラガのもとに弟子入りしました。
ロントン・ラガは、ゾクチェンの教えを説明する際、「恵まれたカルマを持つ者は、この教えを聞くだけで成就を得る。瞑想の必要さえない」という表現を使いました。これには深い意味があったのですが、まだ教えを理解していなかったミラレパはこの言葉を文字通り受け取ってしまい、

「恵まれたカルマの私は、瞑想しなくても成就できるのだ!」

とうぬぼれてしまい、瞑想もせずにただ寝て時を過ごしました。
見かねたロントン・ラガは、ついにミラレパにこう言いました。

「お前はここに来たとき、自分を大罪人だと言ったが、それは正しかったようだな。私にはお前を成就させることはできない。
さて、ロタクという地にマルパという偉大な師が住んでいる。その方の下へ行け。お前は彼とカルマ的な縁があるのだ。」

マルパという名前を聞いた瞬間、ミラレパの髪の毛は逆立ち、戦慄が走り、目から自然に涙が溢れ出しました。前世からの縁がよみがえったのです。

マルパの生涯

マルパはチベットのロタクというところで、一〇一二年に生まれました。
子供のころのマルパは大変乱暴でかんしゃく持ちだったので、両親は彼を仏教の師のもとに預けました。マルパはドクミという師のもとでインドの言葉や初歩的な教えなどを学びましたが、教えの深い部分をドクミが教えてくれなかったので、マルパは自らインドに行く決意をしました。

マルパは両親の財産の自分の取り分を強引に手に入れ、そのお金でインドへと旅立ちました。
このころは、インド仏教のチベットへの輸入が盛んに行なわれていた時期で、マルパ以外にも多くのチベット人が、教えを求めてインドに旅していました。
しかしマルパは、他の学者たちとは少し違った道をとりました。学僧ではなく、ナーローという密教行者の弟子になったのです。ナーローはもとはインド最大の僧院であるナーランダー僧院の僧院長として大変有名でしたが、その地位を捨て、僧院を去り、密教行者ティローの弟子になった、いわば異端者でした。

ナーローはマルパを弟子として受け入れ、多くの秘法を伝授しましたが、自分が教えるだけではなく、他の何人かの密教行者の下へマルパを送り出し、教えを受けさせました。マルパはそれらの多くの教えを学び、研究し、修行し、成就し、自分のものとしていきました。
この最初のインドへの旅において、マルパにはニュという名前のライバルがいました。彼は別の師のもとにつき、いろいろな教えを学んでいましたが、その知識においても、成就においても、マルパのほうが優れていました。そこで嫉妬したニュは、チベットへの帰りの旅中において、事故に見せかけて、マルパがインドから集めてきた大事な経典を、すべて河に投げ捨ててしまったのです。

マルパは、苦労して集めた経典が消えてしまって、一瞬悲しくなりましたが、しかしそれら経典に書かれている秘儀はすべてマルパ自身がすでに会得していたので、そう思うと悲しみは消えました。このエピソードは、マルパが単にインドから経典をチベットに持ってきて翻訳しただけの学者というわけではなく、成就者だったことを示しています。

プラヘーヴァジュラの生涯

このエントリーをはてなブックマークに追加
プラヘーヴァジュラは、人間の姿をとって地上に現われた、最初のゾクチェンの師です。

プラヘーヴァジュラは、ウッディヤーナという地の王女の息子でした。それは一部の学者の説によると、現代のパキスタンのスワット谷の辺りであるとも言われています。

ウッディヤーナは、高度な仏教の教えやタントラの教えの、最も重要な源でした。そしてそこはエネルギーに満ちたダーキニーの地であり、また宝石と森と野生動物に満ちた場所でした。そこには、6108の小さな寺院に囲まれた、「喜びの塚」と呼ばれるすばらしい寺院もありました。すべては大きな繁栄の中にありました。

そこからほど近いところにある砂に覆われた島で、ウッディヤーナのウパラージャ王とアーローカバースヴァティ王妃の娘であるスダルマーという名の尼僧は、スカサーラヴァティという名の従者の女性とともに、粗末な草の小屋で、瞑想修行に没頭していました。

ある晩、彼女は不思議な夢を見ました。
夢の中で、白い顔をしたけがれのない男がやってきて、五つの仏陀の種字で飾られた水晶の壷を、彼女の頭に三度置きました。その壷は光のビームを発散し、彼女ははっきりと三つの言葉を見ました。

そしてその夢を見た十ヶ月後、多くの吉兆の印で飾られた息子が、彼女から生まれたのでした。
この子供は、ゾクチェンを伝達するために色界に現われたヴァジュラサットヴァの化身であるアディチッタの生まれ変わりでした。

子供が生まれたとき、スダルマーはおびえ、また恥じていました。

「父親がいないのに生まれてきたこの子は、悪魔以外の何物でもない!」

彼女はこう叫ぶと、その子を灰の中に投げ捨てました。

しかし賢い従者であるスカサーラヴァティは、この子は解脱した魂の化身であると、スダルマーに忠告しました。
するとその瞬間、不思議な音が聞こえ、光線が現われました。

LinkWithin

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...